その6

さて、村に住み始めてから4ヶ月が経った頃、YAMAHA DT50を貸与されることになった。
今まで徒歩か、生馬でしか移動できなかった僕にとって、かなりうれしい知らせだった。

もしかしたら、ハーレーを手に入れた時よりもうれしかったと思う。

行動範囲は広がり、村の中ならほとんどどこでも行けるようになった。
雨の後のぬかるみや、ブッシュが生い茂っているような場所は、
たとえオフロードバイクと言えど、裸足での徒歩や馬には勝てなかった。
ぬかるんだ土は、スニーカーや長靴でも歩くことができなかったのである。

村にバイクは2台。
僕のDT50と、同僚のセノンくんが乗るオフロードバイクSUZUKI TS125の2台だけだった。

車は警察署長が1台、トラックバスが2台、あとはときおり訪れる大金持ちの牧場主たちの4WDが数台。

ガソリンは、50リットルのポリタンクを買い、少なくなると、町まで1日1往復していたトラックバスの
運ちゃんに頼むのである。
町でポリタン満タンにして持ち帰ってくれる。

その他、トラックのバッテリーや、小さなガスボンベなども頼むと満タンにしてくれる。
電気や水道、ガスが村まで来ていなくとも、お金持ちの家庭はそうやって、
テレビやラジオを見たり聴いたりすることができたのである。

いずれにせよ、僕の行動範囲は飛躍的に拡がった!

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